より良い社会つくりのためには、分解(破壊)と合成(創造)が必要
2018年11月にお話をお聞きした生物学者・福岡伸一さんの持論を思い出します。
外界から孤立した物体の系(例えば宇宙)で生ずる変化では系全体のエントロピーは必ず増大するという「エントロピー増大の原理」に支配されている以上、築き上げたものは崩れ、秩序あるものは無秩序化する。では、何故生物は生きているのか。それは、生物は自分で自分の細胞を「エントロピー増大の法則(熱力学第二法則)」が襲ってくる前に自分でどんどん壊す。壊し続けることで、結果的に常に新しい細胞が生まれる状況を維持している。「1年前の自分と今は別人。人の細胞は実は完全に入れ替わっている」。
このような現象が細胞・分子のレベルに留まらず、人間・コミュニティ・社会でも起きているならば、今後も、宇宙の「エントロピー」は増大し続けるし、人間社会でもいろんな次元で「破壊」と「創造」は繰り返されていく。人間社会で今後も起こる複雑で不安定な状況が、次の社会を生み出していくプロセスとも捉えることができる。
細胞と同じように人間は周囲の人たちとエネルギーも情報も物質もエントロピーも交換しあっている。その関係性が次のレベルである「コミュニティ」に影響を与え、さらに高い次元の「社会」にも影響しあっている。