ei-san’s blog ー Working Better with Age ー 誰もが生涯活躍の人生を

このBLOGの目的は、「生涯活躍のまち、茅ケ崎つくり、SDGs の実現」のための調査・研究と活動に役立つと考えられる情報を紹介・記録するものです。    具体的には次の3つです。(1)誰もが暮らしやすい茅ケ崎市の実現に関係する情報、(2)誰もが生き甲斐を持ち続けることが可能な茅ケ崎市の実現に関係する情報、(3)多世代の人々が活発に交流することが可能な茅ケ崎市の実現に関係する情報。

学童保育、待機児童数は過去最多の1万7,279人(厚労省)

神奈川県学習塾大手ステップが学童保育事業を本格展開(辻堂教室(藤沢市)と茅ヶ崎教室(茅ケ崎市))するという新聞記事を読み、現在の「学童保育」についてあらためて、考えさせられました。

共稼ぎ保護者が増える中、子どもが家で留守番というのは心配なものです。放課後は「学童保育」にお世話になるという家庭も多いとのことです。

国も現場も努力し、「学童保育」の施設を増やしてきましたが、それ以上の利用者増に追いつかないという状況がずっと続いているようです。待機児童数は、利用したいと申し出たにもかかわらず利用できなかった数です。しかし、そもそも諦めて申請をしないケースや小学生なので家で留守番をさせたり、習い事をつないだりして、しのぐケースもあるとのことです。「良い学童保育があればぜひ利用したい」と考えている潜在的な待機児童数はさらに飛躍的に数が増え「数十万人以上」とも言われることもあります。いずれにしても「学童保育」が足りていない状況であり、課題は大きくなり続けているとのこと。

学童保育」の課題は「人、場所、金」

放課後の「学童保育」の課題は「人、場所、金」と言われています。

YAHOO!ニュース 2019.1.25(放課後NPOアフタースクール代表理事平岩国泰氏)より

 https://news.yahoo.co.jp/byline/hiraiwakuniyasu/20190125-00112098/

(1)人(ひと)

昨年末に、学童保育基準緩和 保護者らが反対の声」学童保育の質、守れるか 指導員の基準緩和に不安の声」ということが新聞・テレビなどで報道されていました。これは2018年11月に、政府の地方分権改革有識者会議において、学童保育1カ所につき2人以上の職員配置を義務付けているものを、地方の人手不足に配慮し1人の職員の配置でも容認する方針が示されたことに反発する声です。もともとこの基準は2015年に「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」として施行されましたが、4年間で緩和され、職員2人の配置は「従うべき基準」から「参考にすべき基準」に、つまり「職員2人の配置がマストからベター」になるのです。この発表を受けて「保育の質の低下につながる!」「児童の安全や安心が確保できなくなる!」と保護者や運営団体から強い反対の声があがっています。

一方で、この基準の緩和は全国知事会などが求めたもので、学童保育を作る側からの要望でありました。「待機児童問題を解決するために学童保育の数を増やしたい、だけど人が確保できない」という現状から出てきました。地方自治体からは「学童スタッフの募集をいくら行っても人が集まらない」「夫婦の扶養の範囲でしか働いてもらえない」「夏休みは特に人の不足が深刻」といった悲鳴も聞こえます。

小学生、特に低学年児童が40名程度いる現場を考えると、職員1名はおろか2名でもとても心もとない状況です。子どものことですので予想外のトラブルも起きますし、怪我や病気の対応などをしていると2名でもとても足りるとは思えませんが、それでもこのような要望が首長から出てくるところに苦しさがあります。人が足りないのは、「職員のなり手がいない(人)」「雇用できるお金が足りない(金)」の問題に分解できます。これは保育士の問題と似ているし、もっと厳しい状況が学童保育にあるのです。

(2)場所

先ほど挙げた「新・放課後子ども総合プラン」には「新たに開設する学童保育の80%を小学校内で実施することを目指す。」のように書かれています。学童保育の実施場所としては、学校内が期待されているわけです。学校内で実施することにも賛否両論がありますが、保護者の声は「やっぱり学校が安心」という声が多いとのこと。

実際に学校で開催する上での課題になることは何でしょうか?

これは法律の問題よりは「心理的な課題」が大きい印象です。法律上は学校教育法にも社会教育法にも、学校施設を様々に活用して良いことが書いてあります。そして実際に学童保育の約半分は学校内に既にあります。ところが実際に学校を活用しようとすると先生方はあまり良い顔をしないことがあります。また学校を司る教育委員会の反応も様々です。そもそも学童保育厚生労働省、学校は文部科学省であり、市区町村役場でもこの2つの所管が異なり、縦割りの弊害も起きてしまうケースもあります。それに対し、昨年11月に政府の規制改革推進会議では下記の答申が出されていました(一部略)。

文部科学省は、児童の放課後の居場所確保の重要性について「小学校施設整備指針」に明記する。

・小学校内で学童保育が実施される場合、実施主体は学校でなく、市区町村の教育委員会や福祉部局等であることを明確にする必要がある。このため厚生労働省及び文部科学省(以下両省)は、学校施設の管理運営上の責任の所在について、関係部局間での取決めが行われやすくするよう、参考となるひな型を地方自治体へ通知する。

・両省は、これまで取り組んでいる学童保育の学校内での設置促進に向けた手続の簡素化・弾力化や予算措置について周知を徹底する。

・両省は、小学校施設の徹底活用がなされている地方自治体の特徴的な取組の事例を他の地方自治体に周知する。

このように「学校活用できるよう意識を変えよう!」と両省とも躍起になっている状況とのことです。

(3)金(カネ)

「学童指導員の半数が年収150万円未満」のような記事が時々報道され、学童保育職員の厳しい処遇が伝えられますが、なかなか改善されていきません。最終的に最も大きいのはこの「金」の課題であると言えます。全国学童保育連絡協議会の資料によると学童保育に対する年間の国庫補助金は年々拡大されて800億円程度が投入されていますが、保育園と比べると1桁少ない規模です。保育所の利用者数は学童保育の利用者数の概ね2倍ですので、それを考えてもいかにも学童保育への国庫補助金は少ないと言えます。「小学生になれば子どもだけで過ごせる」という昭和の時代の常識が色濃く残ってしまっていて、予算が回ってこないとも言われています。

消費税が10%に増税され、新たな使途として「幼児・高等教育の無償化」などが示され、実際にこの秋より先行して「幼児教育の無償化」が行われます。しかし残念ながら増税した使途の先として放課後や学童保育の文字を見つけることは難しく、小学生の放課後に資金が回ってくることはいかにも後回しになりそうです。

放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰氏によれば、子どもたちの放課後から3つの「間」が失われたと言われて久しいとのこと。3つの間とは「時間・空間・仲間」です。昭和の放課後にあったゆったりした時間たくさんの遊び場多くの友達との遊び、そんな放課後の姿は見かけることが難しくなりました。そして共働きの保護者の増加や3世代同居の減少などにより、子どもたちの放課後の居場所が求められています。具体的には「人、場所、金」の解決が求められています。令和の放課後はますますこれら課題が大きくなっています。保育園の問題と同様、小学生の放課後の課題にも社会全体で取り組んでいきたいものです。

とはいえ、今、家庭でできることはなんでしょうか。

以前は「学童保育」というと学校や地域の施設で放課後を過ごすためのものでしたが、最近は民間企業も参入し多様化しているとのことです。まずは、

◆「預かってもらうついでに何かを学ぶ」というスタイルから、「専門的に学ぶ場所で長く預かってもらう」というスタイルに変わりつつあるというのが最近の傾向のようです。そして、民営の「学童保育」は今後さらに多様化していくことを認識します。

そして、

①ご自身の子供さんが通う学校で「学童保育」がどうなっているかを調べ、

https://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/shisetsu_info/1002572/index.html

茅ヶ崎市HP:茅ヶ崎市の児童クラブ(学童保育所)のご案内

②それを利用するかどうかに関わらず、民営の「学童保育」についても事前に調べ、

③自分達の家庭に合ったものを利用する

ではないかと思われます。

以下、参考情報です。

学童保育」には大きく分けて公営と民営があります。そして、それぞれにメリット、デメリットがあり、次のように整理できます。

◆公営のメリット・デメリット

公営のメリット

・学校内に施設があることが多いということです。放課後子どもだけで移動する必要がありませんし、いつも通いなれた学校なら安心して過ごせます。校内に施設がない場合は、地域の児童館などを利用するところもあります。

・費用が安いということです。保険料とおやつ代のみという施設が多いです。月々の利用料がかかる施設もありますが、大抵は数千円程度です。筆者の地域では、年間500円の保険料のみで利用が可能で、17時以降の延長をした日のみ利用料とおやつ代を負担します。お勤めをしている方は登録をすれば、月5千円で毎日19時まで利用でき、おやつも付いています。

公営のデメリット

・預かり時間が短いということです。2016年の統計では半数近くが18時か18時半までで基本延長が出来ません。しかし公営も時間が延びつつあり19時頃まで預かってくれるところが増えています。

・個別のケアはしづらいという点もあります。1施設あたり30~45人くらいが一般的で、児童の人数が増えればそれ以上になることもあります。安全に遊ぶ場・居る場として機能しているので、勉強のサポートや個別のケアは難しいというのが実態です。

・預かってもらう為に仕事を一定時間しているなどの条件がある場合や、子どもの年齢上限(小学校3年生までが多い)がある場合もあります。

民間学童(民営)のメリット・デメリット

民間学童(民営)のメリット

・預かり時間が長いということです。通常19時までが多いのですが、さらに延長で21~22時頃まで預けられるところもあります。

・運営している企業によって多彩な活動を行っている為、上手に選ぶことで習い事もカバー出来ます。学習塾や英語などの勉強系以外にも、アートやスポーツ活動などさまざまです。

民間学童(民営)のデメリット

・費用が高いということです。サポート内容などにも異なりますが月数万かかるところがほとんどです。別途入会金や、オプションごとに追加料金がかかる場合もあります。

・施設が家や学校から近いとは限らないのでお迎えが大変ということです。学校から施設への「お迎えサービス」を行ってくれるところは多いですが、施設から家へ送ってもらう為には追加料金がかかることが多いです。

 

<参考1>

2018年の放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)実施状況」厚生労働省公表資料(一部)

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kodomo_kosodate/k_41/pdf/ref4.pdf

厚生労働省が2018年12月28日に公表した、「2018年の放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)実施状況」によれば、登録児童数は前年比6万3,204人増の123万4,366人、クラブ数は前年比755か所増の2万5,328か所、待機児童数は前年比109人増の1万7,279人。いずれも過去最多を更新。

厚生労働省では、放課後児童クラブの実施状況を把握するため、全国の市町村を対象に毎年調査を実施している。

【概要】

〇登録児童数《過去最高を更新》― 1,234,366 人【前年比 63,204 人増】(2017年:1,171,162 人)

 ※登録児童数:放課後児童クラブ数や利用登録している児童の数

〇放課後児童クラブ数《過去最高を更新》― 25,328 か所【前年比 755 か所増】(2017年:24,573 か所)

 ※放課後児童クラブ:小学校の余裕教室や児童館などで、共働き家庭等の小学校に就学している児童に放課後等の適切な遊びや生活の場(安全・安心な居場所)を提供する事業。

〇利用できなかった児童数(待機児童数)

 全 体 : 17,279 人【前年比 109 人増】(2017年:17,170 人)

 ※2015年4月から施行された子ども・子育て支援新制度により、対象を小学4~6年生にも拡大。

 (学年別内訳)

 小学1年生: 2,667 人【前年比 309 人減】

 小学2年生: 2,113 人【前年比 139 人減】

 小学3年生: 4,016 人【前年比 221 人減】

 小学4年生: 5,312 人【前年比 384 人増】

 小学5年生: 2,304 人【前年比 227 人増】

 小学6年生:   867 人【前年比 167 人増】

〇放課後児童支援員の数 :90,769 人【前年比 3,940 人増】

 うち、認定資格研修を受講した者の数:53,132 人(58.5%)

〇放課後児童支援員の主な資格の状況

 保育士:23,010 人(25.4%)

 高等学校卒業者等で、2 年以上児童福祉事業に従事した者:30,198 人(33.3%)

 教育職員免許状を有する者:25,825 人(28.5%) 等

〇18時半を超えて開所しているクラブ数

 〔平  日〕    13,975 か所(55.2%*)[平成 29 年:13,470 か所(54.8%*)]

 〔長期休暇等〕13,651 か所(54.1%*)[平成 29 年: 13,250 か所(54.2%*)]

〇18時半を超えて開所しているクラブの登録児童数

 〔平 日〕  714,297 人(57.9%*)[2017年:672,980 人(57.5%*)]

 〔長期休暇等〕701,921 人(56.9%*)[2017年:661,256 人(56.5%*)]

 

<参考2>

茅ヶ崎市近隣市町の放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況

http://www.pref.kanagawa.jp/docs/sy8/cnt/f535561/documents/h300501_jisshijoukyou.pdf

                             (2018年5月1日現在)

市町村名           茅ヶ崎市  藤沢市  平塚市  寒川町

クラブ数(箇所)       30            62         40       6

クラブ登録児童総数(人)   1692          3352     1719     238

上記うち障がい児童数(人)  26           215        29       2

登録できなかった児童数(人) 104          71         5         28

放課後児童支援員数(人)   178          287       285       45

 

 <参考3>

日本経済新聞20191124日)記事(あらまし)

毎月の利用費用が、23,000円(週2回利用)~40,000円(週5回利用)の他、諸費用が掛かりますが、専門知識を持つ指導者による科学実験やダンスなどを打ち出して、共働き世帯向けの「学童」で子どもに知識を身につけさせたいという需要を取り込むとのこと。
現在、同社は「STEPキッズ」のブランドで学童(小学1~4年生を対象に週3~5日児童を預かるサービス)を運営。2020年3月に辻堂教室と茅ケ崎教室を同時に開く予定とのこと。
同社によれば、「既存の「学童」は児童の見守りに重点を置くが、STEPキッズは小学校高学年や中学生の指導ノウハウも持つ指導者による専門性の高いプログラムが特徴」とのこと。
同社龍井社長は「一般の学童は子どもが退屈という場合が多いが、(自宅で過ごすより)質が高い放課後を、顕微鏡を用いた観察などの「サイエンス」や「英会話」「算数」などの教授、百人一首ボルダリング、ダンス、将棋などの遊びなどで過ごせる」ということです。

r.nikkei.com

 

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