貧困の負の連鎖を防ぐため、教育とメンタルケアに”投資”を
日本は資源が少なく、国や国民が安定して安心に暮らすためには、一人の人間の力も無駄にできないにもかかわらず、その大切な「子供たちの貧困問題」に対して十分な施策が打たれていないといわれております。
GDP世界3位の経済大国・日本の「子どもの貧困率」は13.9%(2015年時点)、子供の7人に1人という驚くべき数です。さらに「ひとり親家庭の貧困率」は50.8%と半数になっています。
※日本における「子どもの貧困」とは18歳未満の子どもの「相対的貧困」のことで、国の等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整した所得)の中央値の半分に満たない世帯の存在及び生活状況のことです。
さらに、「貧困は連鎖」するといわれております。貧しい環境の中で育った子どもは、そうでない子どもに比べて全体として学力が低いというデータがあります。これは、塾に通わせたり、勉強できる環境を整えたりする余裕が親に乏しいからと想像できます。この「負の連鎖」を断つには「教育」が最も大切といわれています。この教育の面で活動をおこない成果をあげているのが、東大出身の学生有志らが中心となって立ち上げたNPO、ラーニング・フォー・オール(LFA、東京・新宿)です。LFAは学校や自治体、教育委員会などと連携し、大学生による無償の学習支援を幅広く展開しています。さらに、この団体の良い点は、まず教える側の人間である学生を厳選し、かつ、研修を徹底しておこなっている点が指摘されています。
また、教育と共に必要だといわれているのが、子供たちへの「メンタルケア」です。極度のストレス下に置かれた子供たちを精神面からサポートすることは喫緊の課題で、新聞等でも、施設職員の研修や育成など「子供たちを守りはぐくむ環境づくり」としてやるべきことは山積していると指摘されています。
「⼦どもの貧困問題」は、当事者である⼦どもたちだけでなく、社会全体に⼤きな損失を与えています。公益財団法人⽇本財団の調査によると、「貧困状態で育った⼦どもたちは納税者にならず、社会保障を受ける側になる」ことにより、国の損失は42.9兆円以上になると試算しています。これは⼦どもたちの責任ではありません。私たち⼤⼈世代の責任です。子どもたちが、生まれ育った家庭の経済社会状況にかかわらず、未来への希望を持ち、自立する力を伸ばすことのできる機会と環境を提供することは、私たち大人世代の責任です。
この記事では、いやらしい言い方かもしれませんが「子どもへの支援」は将来、「42.9兆円以上の経済・社会的損失」とは真逆の「彼ら・彼女らからの納税というカタチで戻ってくる」「生活保護など社会保障費の負担軽減につながる」としています。
是非とも、官民学の連携による子ども支援の施策を充実させていきたいものです。