自ら積極的に能力開発に励むことができる世の中に
昨今、AI(人工知能)、ロボットの普及や加速度的な技術革新、競争環境の変化で、人に求められる能力が大きく変わっていくことが予想されています。日本では、従来、社会人の能力開発を主に企業の社内教育が担ってきました。しかし、変化の激しいこれからの時代には、企業にその役割を期待できないともいわれています。そこで、求められるのは、人が自分自身が能動的に新しい知識や技能を学び続けることができるための環境づくりです。
スウェーデンでは、産官学の密な共同連携により、実践的な即戦力人材を育成し、着実な経済成長を人材面で支えるユルケスホーグスコーラ( Yrkeshögskola)が成果をあげています。国が運営費用を負担しますが、自治体が運営主体となり、各地域の産業界の意見を聞きながら、そのニーズに柔軟に対応した職業訓練プログラムです。教育訓練プログラムを提供するのは多くが企業や職業教育の専門学校であり、実践的で実効性のある内容が提供されています。産官学の密な共同連携により、実践的な即戦力人材を育成し、着実な経済成長を人材面で支え、生涯を通じてのキャリア形成をサポートする仕組みとなっています。また、ドイツでは、新しい職業資格の取得によって賃金が上がりますが、日本では技能・技術の習得が賃金上昇や待遇向上につながるとは限りません。
今後は、日本でも「流動性の高い労働市場の整備」を進め、「仕事を移ることで賃金が上がる、処遇を上げられる環境づくり」が能力開発を促すためにも必要です。人間ですから、新たな技能・技術を身につけることで収入が上がったり、処遇向上が可能となれば、自ら学ぶ意欲がさらにわくのではないかと思います。