「ジェネラティビティ(Generativity)」を活用し、高齢者は幸せ感アップをはかろう!
若い人たち(次世代、次々世代)を支え、力になりたいという高齢者の思いが、実は、高齢者自分自身の「幸せ感」を高めることがわかってきたとのこと。また、子どもたちに親切にすることが、子どもを親切な人へと育てる可能性があることもわかってきたといいます。
独りよがりにならず、次世代・次々世代とうまく交流を続けていく(感謝をいただく)秘訣は、①『求めがあるときに出ていき、支援するくらいのスタンスで、主役はあくまで次世代・次々世代であることを意識すること、②支援の行動・行為が自慢や独りよがりにならないようにすること(成功談より失敗経験をもとにした知恵を伝えること)のようです。肝に命じておきたいものです。 #Generativity #ジェネラティビティ #世代間援助 #主観的健康感 #幸福感 #東京都健康長寿医療センター
「ジェエラティビティと精神的健康状態の関連について」
社会参加と地域保健研究チーム 研究員 倉岡 正高
ジェネラティビティ(次世代継承観)と心の健康度の関連の検証を目的に、首都圏2地区で実施した郵送調査から、65歳以上2,316人を分析しました。従属変数としてWHO-5、独立変数としてジェネラティビティをHopkins Generativity Index日本語簡易版及び個人の性、年齢、教育年数等を重回帰分析により検証しました。結果、有意なモデルが得られ、ジェネラティビティが最もWHO-5に寄与していました(β=.38,P<.001)。地域でのジェネラティビティの醸成が、高齢者の精神的健康度に寄与する可能性が示唆されました。
「高齢者における世代間援助の授受と主観的健康感の相互関係:CAPITAL studyより」
社会参加と地域保健研究チーム 研究員 村山 陽
高齢者における非親族からの世代間援助の受領および提供と主観的健康感との相互関係について検証するために、埼玉県和光市の20歳以上の市民から無作為に抽出された7,000人を対象に郵送調査を行いました。初回調査は2014年に行われ、その後、同一の対象者に対して2016年に追跡調査を実施しました。交差遅延モデルおよび同時効果モデルを用いて検討した結果、高齢世代が地域や職場の若年世代に援助を提供することは、その後に若年世代から援助を受けることにつながるとともに、それが結果として高齢者の主観的健康感を高める可能性が示唆されました。